相手の様子をちらっと盗み見る。

あの羽織、壬生浪士組…


「新ぱっつあん。この男、気を失ってるだけで生きてるぜ。」



「ええ!?・・・お前、この男に何したんだ?」


いつの間にかやってきてしんぱっつぁんと呼んだのは、まだまだ幼さの残る少年。

その少年の言葉に、しんぱっつぁんと呼ばれた、私に刀を突きつけている男は気の抜けたような、驚きに満ちた声をあげた。


「(何したって言ったって…………)
ただ鳩尾殴っただけですけど…」



何を当たり前のことをと首を傾げる。

よくよく見れば、この少年としんぱっつぁんと呼ばれた男の後ろに同じ羽織を羽織っている数名の男たちが見える。


…………巡回か何かだったのか。

もしかして、あそこで何もせずこの、しんぱっつぁんさんが助けに入るまで何もしないで待ってた方が良かった?


明らかに私、変な目で見られてるよね?

誰だお前、不審者だろ?みたいな疑いかけられてるよね?


これはこれは、やってしまったか?

いやでも、あそこであの浪士の思いどうりにやられてもねぇ…

待てよ、この人、助けに入るつもりだったならもっと早くに、私に刀向けられた時点で助けに入ってくれても良かったんじゃない⁈


あ、もしかしてあの時点ですでに不審者扱いされてた⁈
確かにこんな真夜中に市井の人たちは出歩かないもんね‼︎
悪いのは考えが及ばなかった私か‼︎

でもでも、辻狩りが出るなんて知ってたら出歩いたり……………してないと否定出来ない自分が憎い‼︎


キーキーと、心の中で後悔していたら、しんぱっつぁんさんの隣にいた少年がいつの間にか私の目の前にいて、両手首を掴んで、縄で縛ろうとしていた。


「え"」

「はいはーい、じゃあ行くぜ」


がっちりぎっちり縛り終わった後、何も聞かされず、私はこの男たちに連行された。
縄を解いて逃げることは簡単だけど…


「土方さんは起きてるだろー」


相手は壬生の狼だし、あとで瓦版で顔書かれても困るから、大人しくついて行くことにした。





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はあ、京に入って3日目。

これから先が思いやられる・・・