新撰組(仮)

------ある屋敷で

「奏楽様、お帰りなさいませ。
 恭治様が奥でお待ちです。」

「分かりました」

奏楽と呼ばれた女は
十二単のような見るからに重そうな衣を身に着け
奥へと向かった。

女はある部屋の前まで来ると

「恭治様、失礼します」

襖を開けると中には男が座っていた。

女は襖を開けると

「ただいま戻りました。」

と深く頭を下げた。

「ああ、お帰り。
 なかまで入っておいで」

恭治様と呼ばれた男に促され部屋に入った。

「それで、弥生殿の(ヤヨイ)体調はどうだった?」

そう聞かれ、女の顔は一気に暗くなった。

「・・・あまり、良くならず
 いまだに起き上ることすら
 難しいようです・・・」

「そうか・・・」

男はそう言い、一瞬宙を仰ぐと
また、女に視線を戻し

「お前が弥生殿の傍にたい気持ちは分かるが・・・
 すまんな・・・」

「いえ、気にしないでください。