新撰組(仮)

そういって、源さんの隣にいた少女---千春ちゃんは
にこっと笑った。

「任務からの帰りに浪士たちにからまれているのを
 見かけてね。
 そしたら、京に用があるっていうから
 一緒に来たんだ。」

「そうか・・・
 じゃあ、今日にはここを発つのかい?」

「はい。
 少々、いそいでおりまして・・・」

「そうかい、ゆっくりできればよかったのだがなあ」

「お気遣い感謝いたします」

「むむむ・・・
 そうだ、せめて朝餉だけでも一緒にどうだね?

 今、ちょうど食べていたとこなんだ。」

「え、でも、ご迷惑じゃないでしょうか??」

「なに、そんなことはない。

 一緒にどうだね?」

千春ちゃんは考えるそぶりをしてから・・・

「では、お言葉に甘えて・・・」

といって、一緒に朝餉を食べることになった。

「じゃあ、ちょっと俺は用があるから
 先に千春君を案内してくれ。」

「分かりました。」

そう言って千春ちゃんを案内していると・・・

「あの・・・」

と声をかけられた

「はい??」

「えっと、お名前は?」

「・・・ああ。
 奏楽。水野 奏楽。」

「奏楽さん・・・ですか」

「ああ。」

やばいやばい、男装してるんだから、きちんと気持ちを切り替えなきゃ。

その後、千春ちゃんは用があるからと言って
本当に朝餉を食べた後、すぐに出て行った。