「嘘をついたことは謝ります。
 けど、あなた方だって隠していることがあるんじゃないですか?」



「!!」



明らかに土方さんの顔が強張った。



「君っ!!」



山崎さんが私に反発しようとした





「山崎、落ち着け」



それを土方さんが制した。



「私の本名は、水野奏楽といいます。ですが、私の名前は表に出してはいけないのだと教わりました。…前は、鳳の名前があったからその名で通ってましたが、今はその守りはありません。…跡継ぎについて、おじさまにと、遺言を仰せつかったので、祖父から貰った偽名を使い、旅に出ていたのです。」



「だから、俺たちにも嘘をついたってーのか」



「はい。」




土方さんはため息をついた



「・・・わりぃが俺らのことはまだ言えない。」


「構いません。
 それでも、私は十一番隊隊長として働きます」


彼らの行動から、何かを私に隠していることは容易に予想できた。
きっとそのうち、教えてくれるのだろうと思っていた。



私は、まだ、死ぬわけにはいかない。

彼らの秘密を教えてくれなくても別にかまわない。
おじ様を、探し出すことができたなら。


たとえ"仲間"ではなかったのだとしても。




「・・・はあ。
 お前ら、何聞いてんだ」


「・・・」


するとスッと襖が開いて幹部のみなさんが入ってきた。

「なんだよ~
 やっぱ、土方さん分かってたのかよ」

「バレバレだ、阿呆」

あ、平助さんまで!!

ちゃんと寝てなきゃダメなのに!!

「紫水、俺らはちゃんとお前のことを信用してる」

「・・・お前のおかげでここ最近の組内の雰囲気が良い」

「だれもお前のこと疑っちゃいねえよ!!」

「紫水は11番隊隊長として隊士たちからも信頼されてんだぜ」

「僕らにも本当のこと話してくれてもいいんじゃない?」

原田さん、齋藤さん、平助さん、永倉さん、沖田さん・・・

「皆さん、ありがとうございます

 私、水野奏楽は、叔父様を探してここ
 京まできました。
 いままえ隠していてすみませんでした」

謝っても、私がこの人たちに
嘘をついていた罪は消えない。

でも・・・

「気にすんな、これからもよろしくな
 奏楽」

これからはこんなにも優しく私を迎えてくれた
人たちのためにも身を犠牲にしてでも戦おう。

・・・覚悟を決めるんだ、俺。