新撰組(仮)

「紫水。 
 土方さんがよんでるぜ」



「土方さんが?」




屯所につくなりいきなり、土方さんの呼び出し。


なんだろう?
私、なんか悪いことしたっけ?




「土方さん。鳳です」


「入れ。」


「失礼します」



スッ-------



「!あなたは・・・」


『叔父様ですか?
 早く見つかるといいですね』


昼間、町にいた別嬪さん!


土方さんの隣には昼間、町で話をした別嬪さんらしき人がいた。


もしかして、ここの忍びのものだったりして・・・


背中に冷や汗が流れるのを感じた。


「観察がたの山崎烝(ヤマザキ ススム)です。
 以後お見知りおきを」





まじかーーーー!!

あの別嬪さんはこの人の変装というわけですね

ってことは、ってことは・・・!



「お前にいくつか聞きたいことがある。
 鳳。いや・・・
 水野奏楽?」



ですよねーーーーー‼‼

私の笑顔がひきつるのを感じた。






「まず。お前の出身は本当に江戸か?」


「はい・・・
 間違いありません」


「では、お前の名前は?」


「水野・・・奏楽です・・・」


「・・・なぜ、嘘なんてついたんだ?」




土方さんは、抑揚のない声で言った。

その声が逆に不安を増幅させた。



…いくら事情があるとはいえ、この人たちをだましたのは事実だ。
そして、その事情をこの人たちが汲み取る義理なんていない。


…そう、他人、なのだ。
私たちは。
所詮、他人…



…切腹ものだろうか。
武士たるもの、最後は切腹か。



だが、私はまだ、死ねない。



卑怯な手を使うようで申し訳ないが…


私は、どうにかしてこの場を抜けるため、切り札を出すことにした。






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