蹲っていた女の人顔を上げたと思ったら、息を荒くしながら短刀を握りしめていた。
不気味な笑いを湛えながら声をかけた浪士に斬りかかる‼
一撃目は後ろに倒れこむことで避けたが、それと一緒に女も倒れこみ、呆然とする隊士の左胸を狙って女は、短刀で----
「はいはーい、おねんねしましょーねー」
貫こうとした女を、刀の鞘でぶん殴って気絶させる。
女は気絶し、地面に倒れこんだ。
「だ、大丈夫か?!」
斬りかかられた隊士に、一緒に回っていた隊士が駆け寄った。
倒れた隊士は呆然としながら前を見つめていた。
ありり、びっくりしすぎて腰ぬけたか?
「おー、お見事ー。
相変わらず、見事な手腕だねぇ。
この女の人大丈夫?
白目向いてるよ?
起きなかったらどうしようか?」
「平助もなかなか起きなかったしな…
早く起きてもらわなくては、尋問も進まぬ。
…副長のご迷惑に…」
二人の隊長は倒れている女の傍らに座り込み、そう呟いた。
待って待って、私の心配なし…?
いや、別に?
誰も心配してくれなくてもいいけど?
別に?
ちょっと、寂しいとか思わないけど?
心配し合うのが仲間だと思ってたけど…?
べっつにー、いいけどー
ちょっとむすっとしながら縛った浪士たちを立ち上がらせる。
そして、屯所に連れて行こうとする。
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