そう思っていると
土方さんがため息を一回ついた。
そして、



「お前には11番隊隊長として
 働いてもらう。」





「………………………………………はっ?!」





たっぷり間をおいて
それしか言葉が出てこなかった。



「ぷっ、く、くくく…
 紫水ちゃん、阿呆面…ぷくく…」



隣には、顔を背けておなかを抱えて笑う沖田さん。
でも今は、沖田さんに構っている暇はない。


私が、11番隊、隊長、だと…?!




「ぷぐぐぐ…
 おい見ろ、左之。確かにたいそうな阿保面だ、ありゃぁ。」



「おい、新八、堪えろ!
 土方さんに見つかったらどうするつもりだ。」




襖の外からこの部屋にいるはずのない人たちの声が聞こえた。

あれれ、盗み聞きされてるー…
しかも、私、女子として馬鹿にされてるー…



はぁ、と土方さんの大きなため息が聞こえた。
土方さん、ため息多いな。




「見つかったらじゃなくてすでにばれてんだよ、原田。
 入ってこい。」


その一言に、しんぱっつあんさんと原田さんが部屋に入ってきた。
しんぱっつあんさんは陽気にがはははと笑っている。
対して原田さんはバツの悪そうな顔をしていた。


「わりぃわりぃ、どーしても気になってな‼な、左之‼」


「すまねえな、土方さん…どうしても見るって聞かなくてな、新八が。」



「な、罪を俺だけに擦り付けるつもりか、左之‼」


「事実じゃねえか‼」


ぎゃーぎゃーと騒ぐ二人。
…賑やかなんだなあ、ここ。



「遅くなってすみません、皆さん。」


そこに入ってきたのは山南さん。


「どうだった、平助の様子は。」


どうやら山南さんは平助さんの容態を見に行っていたようだ。

山南さんは目を伏せ、首を横に振った。


「…そうか」


それだけで、部屋の空気が重くなる。
さっきまであんなに騒いでいた二人も今では二人して暗い顔をして黙り込んでいた。