明後日には、天皇様の御前に行く。





そして、天皇様やほかのお偉い方々に顔を見せ、適当に口上を述べて即退室。




簡単なものだ。


それに、いままでたくさん練習してきた。



だから、怖がる必要なんてない。






でも、なんでだろうね。



心が、怯えてる。



その場に行きたくないと、体が訴えてくる。





その場に行くことは私の使命。


もう、覚悟したんだから。


だから、涙なんて流さないって決めたのに…







「会い、たい…



 会いたいです…土方さん…」






奏楽は涙でかすむ空を、月を、しばらくの間、見上げた。