土方のらしくない態度を不思議に思った千春だったが、あまり深くは追求しなかった。




「そうですか…



 あの、土方さんにお話がございます」







きたか、と土方は思った。


心待ちにしていた内容だろう。


土方が朝の稽古をほっぽりだしてまでも千春に聞きたがっていた話だ。


土方は表面こそは冷静だが、確実に心拍数は上がっていた。







「昨日、屯所を出て行かれた奏楽様の部屋に置手紙が残されていました」






『屯所を出て行かれた』という言葉に何か引っかかりを感じた土方だったが、何も追求しなかった。





「…それで?」





「これは、私の口からお伝えするべきことではないのですが…」




なかなか話したがらない千春にいらだちを感じた土方だったが、次の瞬間、時が止まったかのように感じた。