新撰組(仮)

最後の切り札を持ち出した沖田は、賭けに出た。



ここで土方が何を思うか。

これで、2人の関係が変わってくる。



土「あいつが、いつ?」



沖「土方さんと別れた後です。


  どうして、奏楽ちゃんが泣いたか。分かりますか?」


土「…俺と話すのが泣くほど嫌だったんだろう」




なんでこの人はそういう風にしか捉えないんだろう。


この屯所で一番女慣れしているのは紛れもなく、目の前にいるこの人だ。



なのに、女心という物を知らないのか。



怒りを通り越して呆れを感じてしまった沖田はやはり、まだ切り札は出すべきではなかったと後悔した。


さて、これからどうしたものかと考えていると不意に隣から声がした。



齋「…あの涙は、そういうものではないと思います」


土「何?」


齋「水野は、土方さんを嫌っていない。

  それは普段の生活を見ていれば誰もが分かっています。」



よほど眠いのだろう。

沖田から指摘された『奏楽』呼びは、齋藤の中では終わったようだ。



齋「それに。


  今日の朝、水野を見送ったのは千春だけのようでしたが、その千春が嘆いていました。


  『奏楽様に元気がなかった』と。目も赤く腫れていたと。


  事情を聞いたら、『土方さんに迷惑をかけてしまったから』と言ったそうです」