はあ、とため息をついた土方は作業をしていた手をとめ、2人と向き合った。



土「あいつが、そう思ってんだ。


 あれが本心に決まってんだろう。」



沖「奏楽ちゃんの口からそう出たわけじゃないです」



齋「奏楽は否定も肯定もしていません。」




最後の、齋藤の言葉にぴくりと土方の眉が動いた。


それを見て、沖田は心のなかで、やっぱり一君を連れてきてよかったと思った。




普段、齋藤は『水野』と奏楽を呼ぶ。


しかし、今齋藤の口から出たのは『奏楽』



それが、土方のなかで癪に障ったのは事実のようだ。



土「否定もしなかったんだ。


  あの場合は肯定と取るのが普通だろう」




明らかに、さっきのよりも声の質が硬くなった。



それでも、土方は態度を変えるつもりはないらしい。


齋藤のほうを沖田がちらりと見やると、さすがに眠くなってきたらしい。




(いつも絶賛寝不足中の一君を連れてきたのは僕だし、さっさと切り上げたほうが良いかな)



沖「土方さん…


  奏楽ちゃん、泣いてました。」