昨日、部屋で奏楽が泣いていたことを沖田は知っていた。



というか、土方とのやり取りのころから沖田は齋藤と一緒に見ていた。

だから、つまりは齋藤も一緒に土方の部屋にいる。




「…2人揃って何の用だ。」



これは、奏楽が屯所を出た次の夜の出来事。




「土方さんを、いじりにきました」



沖田の今までにない殺気にきづいた齋藤は内心、ハラハラしていた。




「…さっさと寝ろ」


「いやだなあ、土方さん。

 寝る暇あったら奏楽ちゃんに謝りに行ってくださいよ。」


「なんだと…?」




奏楽の話が出てきて明らかに土方の声の質が変わった。




「奏楽ちゃんの本心があんなはずないじゃないですか」



その言葉に、土方の目が見開かれる。



「お前ら、まさか…」



「えぇ、もうばっちりです」



「…齋藤もか」



「…恐縮ながら」