新撰組(仮)

「…」



「用事の内容によっちゃあ、休暇を取らせてやる。」




天皇様に会うための、特訓。




そんなことを言ったら、この人たちは『冗談だろう』と言って笑い飛ばしてくれるだろうか。




この人たちに、私の正体を教えたら『もっとマシな嘘をつけ』と言ってくれるだろうか。



言ってしまおうか。言ってしまえば、多少は楽になる。



------------でも、言ってどうするの?




私は、私の正体を知られて拒絶されるのが怖いと思った。

だったら、言わないほうが良いだろう。




「…叔父様に、会いに、行くんです」



震える声で絞り出したのは当たり障りのない答え。



でも、緊急の用事ではない。




しかし、このことが私にとってどういう物なのか、2人はちゃんと理解しているはずだ。







「…そうか」




土方さんはそういって、すぐに立ち去ってしまった。