新撰組(仮)

『…もしかしたら私以上に辛い運命をたどるかもしれないわ。


 それでも、逃げないで。
 自分の運命から目を背けないで。



 辛いことがあった分だけ、それ以上にうれしいことがあなたを待っているわ。』



「・・・本当に?」



『えぇ、母様が言うんだもの、本当よ。』



その言葉に、少しだけ肩の荷が下りた。



『奏楽、あのね。



 先見の巫女はね、沢山の人を救うことができるのよ。



 その力と、地位で。



 だからね、醜い心でいたら駄目なの。



 真っ白で、美しく、強い心でいなさい。』



…なんてかっこいいこと、母様が言えることでもないけど。

と続けた後に、少し戸惑いがちに母様は言った。




『奏楽…

 私と、あの人の子供として生まれてきたことに嫌気がさしてる?』




私はふるふると首を横に振った。