私は近づいてくる2つの足音に気づいて我に返った。


そして、またもや影が目に入った。


しかし、さっきの千春よりも大きな影でそれが2つあった。



顔を上げると、そこには2人の年若い男女が立っていた。



誰・・・?



いくら目を凝らしてみても、ちょうど二人の顔がぼやけて見えない。


頑張ってみようとしている私に関わらず、
2人は私に何かをしゃべりかけるとすぐに後ろを振り返ってしまった。



待って・・・!



知らない人のはずなのに、その二人と離れたくなくてここの中ではそんなことを思っていた。


でも、それが言葉と知って発することはなく私はただ呆然と座っていた。



けれど、次の瞬間体が勝手に動いていた。



え・・・?

私は次の言葉に衝撃を受けた。



「父様、母様!!」



私はそのまま、2人の間に駆けつけて2人の手を取った。


2人はその手を、強くけれど優しく握り返してくれた。




----離れないように。けれど、壊さないように優しく。



この人が、私の両親・・・


顔を上げてみるが2人の顔をはっきりと見る事が出来ない。


見たいのに、見れない。


私の中の何かが、黒い靄が邪魔しているかのように2人の顔はぼやけていた。