新撰組(仮)

「いいじゃないかトシ‼
 人間、困ったときはお互い様だろう?」


近藤さんが、眩しいくらいの笑顔を土方さんに向ける。


ま、眩しい…



「ここは男所帯なんだぞ?!
 何かあってからじゃ遅いんだ‼」



「うむ。そうだなぁ…
 だったらトシの小姓になってもらえばどうだ?!」




いい案でしょ?俺ってすごくない?!みたいな目で土方さんを見つめる近藤さんは、さながら犬のようだ。

褒めて褒めて‼って、ご主人様に褒めてもらいたがっている忠犬。


…あれ、この人って局長だったよね?
間違えてないよね?
だって自分で言ってたし…


…大丈夫なのか?ここ。




「…チッ」



ついに土方さんが折れて舌打ちした。

おいおい、聞こえてるぞ。
ガラ悪いなここ。


「…近藤さんがそこまで言うならしゃーねー。
 だが、小姓はいらねえ。自分のことは自分でどうにかできる。」



はーーーー…と長く深いため息をついた後、土方さんはつかれた顔をしていた。



「…お前、刀が使えるんだろう?」



…そう来たか。
使えるようだったら隊士にして働かせるって?

まあ、ただ働きはちょっとなぁって思ってたからそれでもいいけど…



「な、トシ‼」


土方さんの意図することが分かったのか、近藤さんがすかさず抗議の声を上げた。



「近藤さんは黙っててくれ。
 …で?使えるんだろう?
 使えるんだったら、うちの隊士とちょいと手合せ願いたいんだが。」




にやりと笑う、好戦的な目に、私もにやりと返して、その喧嘩を買うことにした。





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