「パーシバル、失礼よ。
ほら行きましょう。」
アネリが呆れたようにパーシバルの空いてるほうの手を握ると、彼のあんなに張り詰めていた緊張がパッと緩む。
…いや緩むどころか、どこか恥ずかしそうに下を向いて、
「あぁお嬢様…、お小さい頃はよくこうして手をお繋ぎしましたね…!
おや、あの頃より力が強くなられましたね。」
久々に手を握ってもらえたことが嬉しすぎたのか、そんな余計な思い出話を喋り始めた。
アネリにしてみれば、いちいちそんなこと…と呆れ返るばかりだ。
「マドック刑事、心配なら入り口まで警護してくださる?
もっともその先はパーシバルしか入れないんだけど。」
「……っ……。」
無邪気な笑顔の中にハッキリとした拒絶の壁を作る。
これにはマドック刑事も、大人しく引き下がるしかなかった。
「…充分、気を付けて下さいね。」



