「でもまあ、これが後々役に立つかもしれないものね。
……んしょっと。」
アネリはチェスを一時中断し、席を立った。
それに従ってパーシバルも立ち上がる。
「お二人とも、どちらへ?」
驚くマドックに向かって、命の危機にさらされているはずの二人は平然と言う。
「襲撃は夜。なら早めに寝る支度をしなきゃ。
シャワー浴びてくるわ。」
「お嬢様のご希望です。
退室を許可して下さいますね。」
そして答えを聞くより先に、ドア目指して歩き始めた。
当然マドック刑事がやすやすと退室を許すはずもない。
「ちょっと…待って下さい!」
すかさずアネリの肩を掴み、部屋に留めようとした。



