「ねえマドック刑事、トレイシー警部はどこ?」
部下を警護に付けたまま姿を眩ませたトレイシー警部。
その行方がずっと気になっていたのはアネリだけでなくパーシバルも同じこと。
「…全く。早くこの素人を連れ帰っていただきたいものです。」
「パーシバル聞こえるわよ。」
マドック刑事は時計や携帯電話の着信を確認しながら答える。
「警部は別室で監視中です。
別荘中に監視カメラを設置したので。」
「カメラって、この部屋にも?」
「ええ、3台ほど。」
当然のことのように答えられた。
一言くらい前もって知らせてほしかった…という気があるが、警察の強行手段は今に始まったことではないため、深く考えないようにする。



