「何をいつまでも考えているんですか。
こんなの、次はC-3で決まりでしょうが。」
突然二人の間に手が伸び、パーシバルの駒を勝手にC-3へ進めた。
アネリも、そしてパーシバルもギョッとして手の主の顔を見る。
「…チェスお得意なのね、マドック刑事。」
アネリが何とか搾り出した言葉に、
マドック刑事はすかさず敬礼で返した。
「いついかなる時でも集中と鍛練を怠らない。それが警官のあるべき姿です。
お二人も、命を狙われているということをお忘れなきよう。
それにはチェスひとつであろうと集中を切らしてはいけません。」



