部屋で待機するよう指示されたために、アネリとパーシバルは四六時中共同で過ごさなくてはならなくなった。
扉のすぐ外には数名の警護。
トイレと入浴以外では部屋を出てはいけないため、二人は暇つぶしにチェスをしている。
「…………。」
さっきまでさくさくと駒を進めていたパーシバルらしくない。
どうやらこの長考はチェスではなく、アネリの発言に対してのようだ。
「確かにそう受け取ることもできます。…ですが相手は正体不明の復讐鬼。
いたずらに言葉を並べ立てただけかもしれません。」
パーシバルが駒を進める。
だが言葉のおまけのような一手だ。
「犯人の言葉を鵜呑みにするわけじゃないけど、
相手は奇襲をかけたりしないできちんと手紙まで送ってきたのよ。時間を守るくらいの礼儀は心得てるんじゃない?」
それにすぐアネリが返す。
ことん、と軽やかに盤が鳴った。



