パーシバルの手によって、とぽん、とぽんと角砂糖がティーカップに落とされる。 トレイシー警部は見た目によらず甘党のようだ。 「…………ぷはぁ…。」 甘い紅茶を一口飲み、幸せそうな溜め息をひとつ。 そんなトレイシー警部の様子を不思議そうに眺めていると、警部は視線に気付き、ニッと笑う。 「妙な空気にしちまって悪かったな。 マドックのためなんだ。」 マドック刑事は未だ外で通話中。 普通のボリュームの声で話しても聞こえはしないだろう。