「一睡も…って、大袈裟な奴だなあんたは。 まぁいい。お嬢さん達がいくら要らんと言っても、オレ達も仕事を疎かにはできないんでな。 せめて部屋の外だけでも警備を付けさせてもらうぜ。」 「…け、警部! 要人の警護を手薄にするなど! もし何か問題があったら…、」 マドック刑事が焦るのも無理はない。 しかしトレイシー警部は「何も言うな」といいたげに手を翳し、 「お前はここに配属されてからまだ日も浅い。 この人達にはこの人達なりの、やり方があるんだよ。」 半ば諦めたようにそう補足した。