アネリの見送りを受け、トレイシー警部とマドック刑事は車に乗り込み、夏の風のように颯爽とその場を去っていった。
それに続き他のパトカー達も尾を引いてついていく。
車の群れが見えなくなるまでアネリはパタパタと手を振り、パーシバルは丁寧にお辞儀をする。
その際、
ぽた、ぽた…
「パーシバル、別荘に戻って傷の手当てしてもらいなさいな。」
パーシバルの傷口から溢れてきた血が地面に赤い水溜まりを作った。
さすがにアネリも、その痛々しい光景を見るのはつらくなってきた。
いつもパーシバルが自分から「治療のために屋敷に戻りましょう」なり言うのだけど、今回はなかなか切り出す暇がなかったのだ。



