「なぜ…ってなぁ。
あんたも不満はないのか?
お嬢さんの代わりに命を危険にさらさなきゃいけねえなんてよ。」
「お気遣い痛み入ります、トレイシー警部。
しかし私はお嬢様の護衛(ガード)です。
お嬢様のご命令ならば忠実に従うのが義務であり、喜びです。
死ぬ時はお嬢様を護って死ぬようにと命ぜられているのですよ。生まれた瞬間から。」
淡々と、しかし興奮を押し隠して話すパーシバルに、理不尽さを感じている様子はない。
心の底から“お嬢様”を慕い、従っているらしい。
彼の何がそうさせるのかはまったく見当がつかないが。
「…そうか、あんたお嬢さんが生まれた時から傍にいるんだったな。
そりゃあ自分の子供みてーに大事だろうな。
よし、納得した。」
うん、うんとなんとか自己解決しようと努めているトレイシー警部の姿を、
「……………。」
パーシバルはなぜか困ったような笑みで見つめた。



