「テストしたのよ。」
アネリが口を開いた。
トレイシー警部の目がそっちに向く。
「お嬢様のテストのためにまず相手を優位に立たせる必要がございました。
あの型のピストルは弾が最大6発までこめられますので、5発ほどこの身で受けました。
一発もお嬢様に届かないよう、貫通させずに体の中に残したのです。」
淡々と語るパーシバルの言葉を聞いて、トレイシー警部は「まさか…」と感嘆の声をもらした。
「とんでもない奴だな。
この前は無数の切り傷を作って、ある時は大火傷。今度は穴だらけかよ…。
お嬢さん、少しはこいつに無理しないよう言ってやれ。」
自分が言ったところでパーシバルが聞くわけがないことは分かりきっていた。
しかしアネリまでも不可解そうな顔をして、
「え?なぜ?」
そう聞き返してくる始末だ。



