「そいつはそうとオイ、お付きのニーチャン。」
トレイシー警部は顎を動かして、うっとりとした表情のパーシバルを呼んだ。
どうやらアネリの時といいパーシバルの時といい、トレイシー警部には相手の名前を呼ぶ気がないらしい。
突然現実に戻されたため、パーシバルは不満そうに警部を睨む。
「私に何のご用でしょう、トレイシー警部。」
すると警部は困ったように頭を掻いて、パーシバルの体に残る弾痕を見つめた。
「さすがにその傷は見過ごせねえな。
送ってやっから、近くの病院に行け。」
もともと白かった衣服は大部分が赤く染まり、流れた血の一部が固まり始めている。
弾丸5発を食らったなんて明らかに致命傷だ。



