アネリの発言に驚いたのはデボンと、傍らに立つパーシバルだ。
自分の父親の会社を潰せと激励するアネリ。
その真意は分からないが、デボンの胸に微かに火が灯ったのは確かだった。
「…お、お前、正気か?
父親の会社だろ?それを…。」
「軍人も、好きで戦争するわけじゃないわ。
兵器職人も同じ。人を殺したくて爆弾や弾丸を作るわけじゃないもの。
戦争なんて無いほうがいいなんてこと、本当は皆分かってる…。」
語尾を消え入らせたアネリは、デボンを優しく見つめている。
デボンはまた新しい涙を目に溜め…、今度は切なく、堪えるように、小さな嗚咽をもらすのだった。



