さっきまでの威勢が嘘のよう。
緊張の糸が緩み、堪えていた涙をボロボロこぼし、鼻水までズルズルと垂らすデボン。
娘を想う姿は紛れもなく父親。けれど今はただ子供のように泣きじゃくるだけだ。
「デボンさんの人生は終わってなんかないわ。」
そのアネリの一言が、デボンを救うことになる。
「え………?」
唖然と見上げるデボンの目元に、アネリの白いハンカチがそっと当てられた。
(パーシバルがまたピクリと眉を引き攣らせたのは言うまでもないこと。)
「敵討ちなんて格好良く言ったところで、人を殺すことには変わりないでしょ。
そんな醜い方法は止めるの。
何でも手はある。紛争や武器廃止の運動に参加して、戦争を無くせばいい。
リトル・レッド社を潰せばいいわ。」



