アネリは男に近寄る。
「…お嬢様。」
まだ完全に危険が去ったわけではないと考え、パーシバルはアネリを止めようと声をかけるが、アネリは構わず男のすぐ対面までやって来る。
しゃがんで目線を合わせても、男の目にもう戦意はない。
今なら例え触れても大丈夫そうだ。
「おじさん、名前は?」
「………っ……。」
アネリの質問に、男は答えない。
パーシバルが黙ったまま銃口を再度強く押し付けると、男の喉から掠れた悲鳴がもれる。
「……で、デボン……。
アントニオ・デボン…。」
「ふうん、デボンさんね。」
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