「お嬢さん…!?」
トレイシー警部は思わず声を上げた。
そしてすぐにアネリの心遣いを読み取ると、
「よ、余計な助けはいらねぇ!
これは上司として、部下の不始末をつけるために…っ、」
「………“信頼できる友人であり、可愛い娘を護ってくれる君を、みすみす警察の人柱にはさせたくない”……。」
受話器に耳を当てたまま、アネリがつぶやく。それは、
「パパがそう言ってるわ。
トレイシー警部。」
友人だからこそ、純粋に助けたいのだという気持ちを受け取ってくれ。
ルロイの気持ちが、アネリの口を通して伝えられると、
「…………っ…!」
トレイシー警部は、もう何も言えなくなってしまった。
ただ、胸に熱い想いが沸き上がるのを止められなかった…。



