「…ぐ、アァァ……ッ!!」
マドックのうめき声が響く。
無理もない。バネッサに殴り飛ばされた時とは比べようもない痛みだ。
庇い損ねた右腕が有り得ない方向に折れ曲がっている。
「く、そッ、クソ、…が、クソッ…!!」
激しい痛みも沸き上がる怒りに相殺されていく。
マドックは、ドアが飛んできた方向を睨む。
誰がやったのか。
誰が、こんなに、自分の邪魔をするのか。
「………誰だ…ッ!!!」
マドックの叫び声に応じて、
…その人物はゆっくりと部屋に入ってきた。
しっかりとした、気品すら漂わせる足取りで、
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