―――…あれ…?
その時、マドックの視界がぶれた。
嵐のような激しい音が聴こえたような気がするが、こんな室内で嵐は起こらない。
そしていつの間にか、
―――え…………?
マドックの体は、真横に弾き飛ばされていた。
「……っ!?」
浮き上がる体の右半身に痛みを感じて咄嗟にそっちに目を向ければ、
この部屋の“ドア”があった。
ひしゃげて、形が歪んだドアが、入り口の縁(へり)を外れてマドックにぶつかってきたのだ。
――ッッ!!!
マドックはドアと一緒に部屋の奥まで10メートル近く飛ばされ、そして壁に強くたたき付けられた。
ドアが体に当たった時よりもずっと大きな音が響く。



