「そして四日目。
本当はあの日、あの密室で、パーシバルかバネッサかあたしの誰か一人を殺すつもりだったのよね?
あらかじめ少しずつ無臭の有毒ガスを室内に送り込んでおいて…。」
通風孔はドアの近くにある。
ドアの反対側に立っていたマドックには被害はないというわけだ。
マドックは黙って話を聞いている。
否定する様子もない。
「でもパーシバルが予想以上に早くガスに気づいて、全員を脱出させてしまった。
ガスで毒殺するはずだった犠牲者が四日目だけは出なかった。ね、順序どころじゃないわね。」
本当ならその時点で彼はなりふり構わず、アネリ達の殺害に乗り出したかったに違いない。
だが苛立ちも発狂もすべてを抑え込み、この五日目までやって来た。
―――これで、終わるはずだったのに……。
―――間違いなく、殺したはずだったのに………。
「…なぜ貴女は生きているんだ……。」



