「………少々、お待ちくださいまし…お嬢様…。」 アネリをその場に横たえ、ゆっくりと立ち上がる。 たった今殴り飛ばしたばかりのマドックに体を向けて、 バネッサは、恐ろしい形相で奴を睨んだ。 「………っ!」 マドックの顔が強張る。 今まで彼女はどんな時だろうと無表情だった。 だが今は違う。 まるでこの世の恐怖をすべて取り込んだかのような、悪魔のような顔をしていたのだ。