アネリの柔らかな頬に一筋の傷がつく。 真っ赤な血が、つうっと肌を伝い濡らした。 それが銃弾のかすり傷だということはすぐに分かったが、不思議と痛みはなかった。 「あ……………。」 “自分の痛み”なんて、感じてる場合ではなかったのだ。 「ぁ、あぁ…、あ………。」 目の前にあるパーシバルの額(ひたい)に、ぽっかりと“穴”が開いていた。 それがさっきの銃声の答えであり、 自分の頬をかすめたのは、銃の流れ弾であり、 その銃弾は、パーシバルの頭を撃ち抜いていたのだった。