無臭のはずなのになぜ分かったのかとか、分かっていてなぜパーシバルは呼吸を止めなかったのかとか、訊きたいことはたくさんあった。
しかしまず言いたいのは、
「…けほっ、…そう、だったのね。
…ありがとう、パーシバル。」
危険から救ってくれた彼に、心からお礼を述べた。
だがマドック刑事はどこか不服そうだ。
「…まったく、今後はああいう紛らわしい真似はよして下さい。
あ、危うく発砲するところでしたよ…。」
無理もない。
なぜならさっきの状態のパーシバルはまるで“アネリの命を狙う”犯人のようだったのだから。
だが対するパーシバルは平然と、
「…これは心外ですね。
私はお嬢様を裏切るくらいならば、喜んで自分の首を切り落とします。」



