「………ぷはっ!!!」
室外に出るとすぐ、パーシバルはぴったり塞いでいた手を離した。
鼻と口から、肺いっぱいに空気を吸い込むアネリ。
だが息苦しさが勝って、呼吸はまだ楽にはできない。
そんな彼女を優しく支えて、パーシバルは言った。
「お嬢様、なるべく呼吸をお控えながらお聞き下さい。
さきほどは説明を省いて申し訳ございませんでした…。
室内に“無臭の有毒ガス”が充満しつつありました。
そのため一刻も早くお嬢様を避難させなければと、手段を選んでいられなかったのです。」
神経ガスと聞き、マドック刑事も慌ててバネッサの手を引いて扉の外へ避難する。
もちろん廊下に出たらすぐ、扉をしっかりと閉じた。



