ここまでは警護の三人誰もが予想していた展開。
が、問題はこの先にあった。
「…妙です。電力が復旧いたしませんわ。」
以前の停電の時はすぐに予備電源が作動したのに、今回はどれだけ待っても電気が復旧しなかった。
「どういうことかしら…。」
「恐らく先日の停電の時からずっと予備電源のほうが動いていたのでございましょう。
落雷のせいで発電機器に異常が起こり、最後の砦も崩されてしまったようです。」
発電機は繊細だと聞いた。
いくらなんでも繊細すぎないか、とも思いながら、アネリは暗闇の微かな恐怖が去るのを祈ってじっと待つ。
「…………。」
その時だ。
アネリは脳の奥に電流が走るのを感じた。
もちろん比喩だが、その電流の感覚は“ひらめき”と呼ぶほうが正しかった。



