マドック刑事も思わず身構えるほど。 バネッサは、なぜか天井に目を向けている。 「雷が落ちたようですわ。」 「…そ、それは分かっていますよ、バネッサさん…。」 「…いいえ。“別荘(ここ)”に落ちたのです。」 バネッサがそう言い直した直後。 さっきまで正常に機能していた部屋の照明が、 蝋燭を吹き消すように、呆気なく消灯してしまった。 「!!」 アネリが声を上げるより早く暗闇に支配される室内。 信じがたいことに、別荘はなんと今週中二度目の停電を迎えたのだった。