「…………。」 彼の目を見た時、マドック刑事は背筋に嫌な気を感じた。 「さて、そうと決まれば本邸に電話ね。マドック刑事、一階に下りてもいい?」 「…え? この部屋に備え付けの電話がありますが?」 そう言いながら、部屋の隅に置かれているレトロなデザインの電話機を指差す。 だがアネリは首を振って、 「ここから本邸へ電話をかけるには一階の直通電話機を使うしかないの。 盗聴の心配がある一般端末機に、本邸の電話番号を残すわけにいかないし。」 年不相応な小難しい言葉をつらつらと並べ立てた。