「…あぁ…お嬢様…っ!」
と思えば、パーシバルは不気味ともいえる悩ましげな声を出した。
自分から抱き着いてきたアネリが可愛くて仕方ないようだ。
急に抱き合った二人を見て、
「パーシバル、ふざけていないで奇襲にお備えなさいまし。」
「そうですアネリさん。
いつでも警戒を忘れてはいけません。」
バネッサとマドック刑事は全然違う意味で二人に注意と応援を投げかけた。
天気は更にひどくなってきたようだ。
窓の外をじっと見つめながら、アネリは今度は皆に聞こえる声量で言う。
「この風雨と雷の中、そうとうの腕前でもないと外からの狙撃は難しいわよね。」
オドワイヤーが殺害された時の天気は曇り。
銃に陽光が反射するようなこともなく、風も少なかった。
だから今日の天気は相性が悪い。
そうでなくても犯人が同じ殺害方法をとるとは考えにくいか。



