さっきの雷の音が合図だったかのように、雷の光と音は更に激しさを増していった。
雨もより強くなっていく。会話の声が聞き取りにくいほどだ。
「…恐いわね。雷が落ちないといいけど…。」
ぽつりとつぶやいたアネリ。
「ご安心下さいませお嬢様。
もし雷が落ちたとしても、私がすぐに耳を塞いで差し上げますからね。」
こっそりと耳打ちしてきたのはパーシバルだ。
どれだけ雑音が多くてもアネリのこととなると彼は地獄耳になるらしい。
アネリは少しだけほっとして、
「うん。」
椅子に座ったまま、パーシバルにぎゅうっとしがみついた。
こういうところは子供らしい。
やっぱり彼女も年相応らしく、雷が嫌いなのだ。



