「編んでも湿気ですぐに解かなくてはならなくなりますわ。
それならばいっそ編まないのがよろしいかと。」
「その身勝手さが無礼だと言っているのです。
分かりませんか。お嬢様がどれだけ嫌がって………」
そう言いながら視線をバネッサからアネリに向けた途端、
パーシバルは言葉を失った。
振り返った二つ結びのアネリは、いつもの清楚風な雰囲気から一変し、年頃の元気な可愛らしさを放っていたのだ。
「あたし別にこのままでもいいわよ。」
本人もまんざらではないらしい。
ちょっと嬉しそうに微笑む彼女の様子を黙って見つめて、
パーシバルはつぶやく。
「…あぁ、やっぱりお嬢様はどんなお姿でもお可愛らしい…。」
ピリピリしていた空気は、とろける笑顔によってどこかに吹き飛んでしまった。



