バネッサは慣れた手つきでアネリの髪を梳かし終え、更に二つの束にする。
そして何を思ったのか、
「!?」
パーシバルの手からリボンを掬い取り、すぐにアネリの髪を縛ってしまった。
手の込んだ三つ編みではなく、簡単な二つ結びだ。
「…あれ、編まないの?」
アネリも違和感に気付き、すぐ自分の髪に触れてみた。
いつも三つ編みが多かったぶん、他の髪型にしたことはなかった。
なんだか妙な感覚だが、嫌な感じはしない。
「…お嬢様の許可もなく無礼なことをしないで下さい、バネッサ。
お嬢様は三つ編みです。三つ編みが一番お似合いです。」
額に青筋を浮かべながら力説するのは自由だが、内容に迫力がない。
バネッサは結い直そうとはしなかった。



