「…ひとつ思い当たることがあるの。」 顔に影を落としていたアネリが口を開いた。 その場の全員の視線が、少女一人に向けられる。 アネリの心当たりとは、誰もが気にも留めなかったこと。 「あたし、彼に言ったの。 “おやすみ”って。」 ―――おやすみ、オドワイヤー。――― 昨晩別れ際に告げた言葉だ。