今回の事件は、もしかすると一種のターニングポイントなのかもしれないと、トレイシー警部は考えた。 使用人の死というショックとストレスを抱えながらも、これを乗り越えた時アネリは、自分を縛り付ける“枷(かせ)”から逃れられるかもしれない。 だから、この子だけは… 「…死なせねぇからな……。」 「トレイシー警部、今あたしに何か言った?」 「…………。 いいや?気のせいだろうな。」