「…電気ショックってそんなに強いものなの?
人が死ぬくらいの…?」
ドリーに目を向けつぶやくアネリに、またもオドワイヤーが答える。
「そりゃ、止まった心臓を蘇生させるくらいですから強力ですよ。
おまけに水中は電気をよく通しますからねぇ。」
「…ああ。
だがそれだけじゃなかった。」
「?」
怒りを抑えているようなトレイシー警部は、バスタブを睨みながら言う。
「水中に薬品が混ぜてあった。
水と人体に電気が流れやすくなる作用のある薬品だ。
これじゃ、やられた人間は確実に死んじまう。」
「…………。」
バスタブの水は無色透明ではなく、泥でも混じったかのように微かに濁っていた。
どうやらそれが薬品であるらしい。



