ホッと息をもらすアネリ…。 「………?」 が、何かがおかしい。 アネリは曇りガラスの向こう…、浴場の大きなバスタブを指差し、その違和感を指摘した。 「パーシバル、誰か入ってるわ。」 アネリの言葉通り、バスタブの淵から人の頭らしいものが突き出ている。 だが変だ。 ここは普段ならアネリとルロイしか入ってはいけない決まりになっているのに。 …使用人の誰かがこっそり入っているのだろうか。 パーシバルはアネリを背後に隠しながら、浴場のドアノブを握り、 「………っ。」 素早く押し開けた。