「…本当?」
最初パーシバルの言葉をすんなり信じられなかった。
戸締まりを忘れるなんて有り得るだろうか。
ましてや正体不明の犯人にいつ命を奪われるか分からない状況の中で。
浴室のドアをよくよく見て、
「……本当。」
アネリは彼の言葉を信じた。
指摘された通り浴室は施錠されておらず、それどころかドアは少しだけ開いている。
ドアの隙間から見える浴室内は明かりが点けられていないため暗く、中で誰かが作業している様子は無い。
さっきのメイドが開けたわけもない。
自分達は彼女とは反対の方向へ歩いて、最短ルートでここへ来たのだから。



